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私のお部屋
第11章 呼び出し
豆田先生のピストンの激動の中、
はっきり見えていた主人の姿がかすんでいく。
日替わりのように男を連れ込んでいたのか、
はっきりと分かった気がした。
夫の影を追い求めていたのだ。
夫を追い求めて
夫と同等かそれ以上のパートナーを
桃子は求めていたのだと。
淫乱でいやらしい自分だった。
主人の顔さえ忘れさせて欲しい。
由香の母親としては失格なのだろうけど、
夫を追い求める桃子自身から、
桃子は逃げたがっている事に気づいた。
生まれ変わりたかった、そう言ってもいい。
夫の姿が完全にかすんで消えた。
桃子は、豆田先生の手を強く握り締める。
未体験の快感が、
足の先から頭のてっぺんまで充満した。
『離婚してくれ』
そう言った夫の冷たい姿は、忘れてしまいたい。
だけど、そう思えば思うほど
夫にすがりつきたい桃子自身から、
生まれ変わりたかった。
その桃子を破壊するがごとく、
豆田先生のピストンが加速した。
「豆田先生ぇっ!」
桃子は初めて心の底から豆田を慕い
豆田の名を呼び絶叫した。
初めて交わったにもかかわらず
その言葉が自然と出たのだ。
「逝っちゃうぅっ!」
「桃子さんっ!愛してる!!うおおおっ!」
「桃子ぉっ!逝っちゃうぅっ!」
そう絶叫した桃子は、
目の前が真っ白になり、
頭が胴体から切り離されて
飛んでいったように思った。
そこからは、記憶がない。
「逝く!逝くっ!逝くぞっ!!」
そんな獣の咆哮に似た叫び声を
遠くに聞こえていたような気はする。
再び桃子が目を覚ました時、
その叫びが豆田先生のうめき声だと、
桃子は気づいた。
桃子の顔のすぐ上に、
豆田先生の顔があった。
ぼんやりと、桃子と豆田先生は
時間を忘れていつまでも見つめ合っていた。