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私のお部屋
第1章 離婚
高校の部活を終えて家に帰りつくころには
すっかり日も落ちてしまい
由香は暗い夜道をトボトボと家路を歩いた。
わが家の前に
見知らぬ車が駐車していた。
「わ」ナンバーであることから
それがレンタカーであることに察しがついた。
来客だろうか?
母が誰かを招き入れるなんて珍しいわ
半年前、母は父に会いたくて
一人で父の単身赴任先の札幌へ出向いたことがあった。
だが旅先で出会った色んな男たちと恋に落ち
体を許す関係になったそうなのだけれど
中にはレイプ紛いで体を求めてきた男もいて
それ以来、すっかり母は人付き合いを避けるようになっていた。
そんな母が家に誰かを招き入れているの?
誰なんだろうと訝しがりながら「ただいま~」と
平静を装って母のお気に入りのピンクのドアを開けた。
「よお!由香お帰り!ずいぶんと遅かったんだね」
由香の姿を見て父の声が出迎えてくれた。
なあ~んだ、パパだったの?
そうか、羽田からレンタカーを借りて帰ってきてたのね
「パパ~!帰ってくるなら、そう言っておいてよ」
由香は大喜びでパパの懐(ふところ)に飛び込んだ。
そんな私を引きはがすように
「由香、帰ってきたんなら、
まず手を洗いなさい」と
ママのぶっきらぼうな声がした。