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私のお部屋
第13章 和解
由香と圭一が一緒に暮らすようになって
早くもひと月が経過しようとしていた。
圭一の仕事が長距離輸送ということで
一週間のうち4日間
もしくは5日間は部屋に帰ってこなくて
留守にすることがある。
その間、由香が男を求めて
再び部屋を出ていかないかと
圭一はハラハラして
アダルトショップへ出向いては
足枷や手錠を吟味して
軟禁しようかなと思ったことがあった。
しかし、それらは杞憂に終わった。
由香は新婚の新妻同様に
圭一が留守の間は
部屋の模様替えや料理の勉強に勤(いそ)しんだ。
『僕が由香を信頼しなくてどうするんだ』
今では完璧に由香を信頼して
ポケットには常にエンゲージリングを忍ばせていた
タイミングさえあれば
正式に由香にプロポーズして
妻として迎えるつもりだった。
由香もまた
高校の制服のポケットに
「退学届け」を忍ばせていた。
圭一の部屋に転がり込んでからというもの
ずっと不登校状態が続いていた。
毎日のように担任の豆田先生からは
LINEで連絡が来て
『とにかくどこに居るのかだけでも教えてくれ』と
再三うるさく言ってきたが
その都度、由香は無視し続けた。