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私のお部屋
第13章 和解
由香が目を覚ますと
すでに時刻は夕刻になろうとしていた。
「おっ!?由香、目が覚めたかい?」
圭一はすでに部屋着に着替えて
キッチンに立っていた。
「プロポーズ記念に
今夜は僕の手料理でお祝いしよう」
そう言うからには
ダイナミックにステーキでも焼いているかと思うと
キッチンからはカレーの匂いが漂ってくる。
『お祝いなのにカレー?』
そう思うと妙に可笑しくなって
由香はベッドでクスクスと笑った。
そう言えば彼って
かなりの頻度でカレーを食べるわね…
じゃあ、今度は私がとびっきり美味しいカレーを
つくってあげなきゃ。
これからは幾度も記念日と称する日が訪れるけど
その度に我が家はカレーになるのね…
そんな小さな事も由香には幸せに感じた。
カレーライスを食べ終わると
圭一が唐突に
「由香とお母さんの関係が
ギクシャクしたのは知っているけど、
やはり一度、ちゃんと挨拶に行きたいんだ」と
言い出した。
「挨拶なんていらないわよ
私がこうして幸せを感じていれば
誰にも知られなくてもいいわ」
「ダメだよ!由香は未成年なんだし
結婚をするには親の承諾がいるじゃないか
僕はちゃんと筋道をつけておきたいんだよ」
一度言い出したら
圭一は後に引かない性格というのを
由香は熟知していた。
ママに会いたくはないけれど
圭一が望むのであれば
仕方ないのかなとあきらめた。