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私のお部屋
第13章 和解
引っ越しの整理も一段落して
桃子と豆田先生がゆっくりとお茶をしていると
豆田先生のスマホが震えた。
『誰からだろう…?』
スマホ画面を見てみると
相手が校長先生ということで怪訝に感じた。
「今日は引っ越しで忙しいと言っていたのに」
有給休暇の時ぐらいゆっくりとさせろよなと思いながらも渋々と通話アイコンをタップした。
- 豆田先生!!大変ですよ!! -
通話が繋がると同時に
校長先生の切羽詰まった声が耳をつんざいた。
「校長、いきなり何ですか」
- 桃子さんの娘の由香さんの事なんですが -
由香の何かあったのか?
豆田先生はスマホをスピーカーにして
桃子にも話の内容が聞けるようにしてあげた。
「由香に何かあったんですか?」
- どうにもこうにも!
桃子さんの娘さんがさっき登校してきて
私に退学届を押しつけたんですよ!! -
「えっ?退学届!?」
豆田先生と桃子は二人して同じ台詞を声にした。
「で…本人は今どこに?」
- それが走り去ってしまって…
私の足では追い付けなかったんですよ -
ちゃんと捕まえておいてくれなきゃ…
まったく頼りにならない校長だ。
「で…受理されるつもりですか?」
- いや…
まずは担任のあなたに報告をと思いましてね -
「では、校長預かりということで
事務処理するのは待っていただけますか?」
あと一年で卒業だというのに…
「桃子、こうなったら警察にお願いして、
家出人捜査をして貰いましょう!」
愕然とする桃子を励ますようにそう言ったものの
豆田先生は地団駄を踏んだ。