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私のお部屋
第1章 離婚
「桃子と由香には本当に申し訳ないとは思う」
パパが久しぶりにママの事を名前で呼んだ。
「由香が帰ってくるまで
たっぷり話したけど…
パパの心は動かないんだって…」
ママの目から大粒の涙が溢れだした。
パパがティッシュをママに差し出したけれど
ママはそれを拒んで受け取らない。
「せめてもの慰謝料として…
この家のローンだけはパパが払っていくから
お前たちは安心してここで暮らしていいんだよ」
生活費だって由香が働きにゆくまで
ちゃんと仕送るからさ
何一つ今までと変わらないんだよと
パパは申し訳なさそうに言った。
「何一つ変わらないですって!?
私はもう、あなたの妻でなくなるのよ!
変わらないことはないわ!!」
感情が込み上げてしまったのか
ママったら号泣しはじめた。
「だから…それは申し訳ないって言ってるだろ!」
パパも自然と声が昂る。
パパはブリーケースから
スッと一枚の用紙を取り出した。
『離婚届』
うわ~ッ!初めて見ちゃった!
こうやって差し出されると
離婚話が冗談ではなく
めっちゃリアルになっちゃうわね…
「いいわよ!サインしてやるわ!
それを持って札幌の女狐のとこに帰んなさいよ!」
ママは泣きながら離婚届にサインした。