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私のお部屋
第2章 家出
離婚届に判を押してから
ママは寝室に閉じ籠って
一週間ほど泣き続けた。
私はママの代わりに
洗濯とか掃除とか食事の用意とか
主婦顔負けの働きをしました。
そんなある日、
お隣のご主人がやって来ました。
「こんにちは…
最近さあ、あんたとこのお母さんの
顔を見かけないけど、
病気で寝込んだりしてないよな?」
「ありがとうございます
ちょっと落ち込んでいるだけで
大丈夫ですから」
落ち込んでいるって?
そりゃあ、いかんなあ
隣のおじさん、私を押し退けて
ずんずんと家の中へ…
「あ、あの…」
なんて勝手なオヤジなのよ!
「わたしゃね、落ち込んでいる時に
あんたのお母さんに慰めてもらったんだよ
今度は私がお母さんを励ます番だよ」
そう言って私が止めるのもかまわずに
いいから、いいからと
勝手知ったる自分の家のように
階段を昇って寝室へ向かった。
コンコン…
寝室のドアをノックして
「奥さん、落ち込んでるんだって?
どうしたい?俺で良ければ相談に乗るよ」
母がお入りくださいとも返事をしていないのに
隣のオヤジは寝室のドアを開けて
「俺に任せておきなって」
そう言って由香を閉め出すかのように
寝室のドアを閉めた。