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第1章 忍び寄る魔の手

ドン、ドン、ドン。

ドアを叩く音がした。外で男が何か叫んでいる。

「周大（しゅうた）、早く隠れて！」

アシュラフの言葉に、俺は急いで部屋の奥にある隠しスペースに飛び込んだ。人ひとりがやっと入れる小さなスペースだ。

「閉めるね」

芽衣（めい）が扉を閉めてくれた。扉はマジックミラーになっていて、内側から外の様子を見ることができる。

アシュラフは、俺が隠れたのを確認すると、外に向かって返事をしてドアを開けた。

いかつい目をした男が二人、中へ入ってきた。二人とも手に銃を持っている。

背の高い方の男が、強い口調でアシュラフに何か言っている。現地語なのでわからないが、おそらく何故すぐに開けないんだ、とでも言っているのだろう。アシュラフは何度も頭を下げながら、とりなすような口調で言葉を返していた。

もう一人、小太りの男は、鋭い眼差しで部屋を見渡していた。不審なものがないか探しているようだ。その男の顔が俺の方を向いて止まった。こっちに向かって歩いてくる。

まずい！　見つかったか！

俺は息を止めた。心臓がバクバクと鳴っている――。