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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第6章 【渦巻く愛憎と独占欲に囚われても…】





ヤリスクロスを走らせ、とあるアパートに着いた。
近くのコインパーキングに停めて階段を上がる。
インターホンは壊れているのかしら。
遠慮がちにノックしてみた。
勢いよくドアが開いて「えっ!?」と驚いた顔。




シャワー浴びたての濡れた髪を拭きながら出迎えてくれた。
「十和子さん」って呼んでくれる彼は呼び慣れていないから恥ずかしそう。




「まさか本当に来てくれるとは思わなかったからすみません、バタバタして」




そう言うけど部屋はちゃんと片付いてる。
何処に座れば良いのかわからなくて立ち尽くしていると座布団を出してくれた。
落ち着かない様子で「あ、お茶淹れます」って慌ててキッチンに。




何度か訪れた部屋ではあるけれど、全く女のコが来てた形跡もなくシンプル過ぎる。
キッチンの方から「あれ?お茶っ葉どこいった?あれ?ない?」って余計に慌ててて。
立ち上がり傍に行く。




「和泉くん、お茶は良いよ、飲み物は要らないから気にしないで」




そう言うと謝ってばかりの配達員、土屋和泉くんを手招きして引き寄せる。
手を握ったらニッコリ笑うの。




「あまり時間もないから単刀直入に言うね?」




不安そうな顔を覗き込んで何から言おうか悩むけど、私はストレートに伝えるべきだと心得ている。




「待たせてばかりでごめんなさい、辛い想いしかさせてないけど、自分の都合ばかりで会いに来たりして愛想尽きちゃうよね、和泉くん優しいから甘えてばかりなの」




しっかりと聞いてくれて彼は首を振る。




「甘えてくれて良いです、僕がもっと配慮すべきだし、いつまでも待ちますから、配達で十和子さんに会える時がどんなに楽しみか……こうして会いにも来てくれて僕は幸せです」




きっと何言っても何ぶつけても許してくれるんだろうね。
自由気ままに会いに来て時間になったら帰る私の何処が良いの?
結婚もしていて、別れる気もないのに。
最初から遊び相手だとわかっていてもまだ繋ぎ止めておきたいの?




「どうして我儘言わないの?こんな関係は嫌だってどうして正直にぶつけないの?」







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