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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第7章 【あなただけのモノになれたら幸せなのです…】





「歩ける?もう少し此処に居ようか?」




「佐倉さん、もう一度チャンスをください……俺いつもはこんなんじゃ」




「んふふ、私はいつもの完璧な浅間さんじゃない顔が見れてレアだな〜と思ってますよ?空回り気味だけどそこがまた、っぽくなくて良いです」




公園の水道でうがいと手を洗わせると、まだフラつく彼を支える。
「格好悪いっすね、俺」って悄気るの。
顔を覆って声を詰まらせる。
泣かないよね?
厄介なのは弱いところ見せてくること。




「さっき言ってたチャンス、まだ有効ですか?」




「え、あ、はい!良いですか?」




「また次も美味しいご飯一緒に食べてください、あ……お酒抜きで」




「あの、次は……その、2人で…でも良いですか?」




そうきましたか。
戸惑うフリ、目を逸らす。
困らせてるなって思わせる。
ダメかも…と気分を下げるだけ下げて降参してあげるの。




「じゃ、今度は私が選んだお店でも良いですか?」




「え、はい!宜しくお願いします!」




かなり体育会系だと思う。
クスクス笑うと安心したのかな。
一緒に笑ってくれて何度もお礼を言われた。
美容師なのに、お客様とプライベートの連絡先交換しても良いのかしら。




髪に触れてきて「やっぱり綺麗です」って堂々と言ってくる。
あなたがセットしたのに。




夜風が気持ち良くてほんのり残ったアルコールでまだ火照ってる。
見つめ合ったら最後だって誰かが言ってた。
まるで獲物を狩るように射止めてしまうの。
意識しなくてもそうなっちゃうの。




墜ちたところで現実へと引き戻す。




「タクシー呼びますね」




「えっ!?あ………そ、そうですよね」




明らかにがっかりしないで。
手玉に取りやすくなる。
もう少し手を焼かせてくれる方が燃え上がるものよ。
膝をポンポンして「まだ横になっててください」と膝枕を。
素直に頭を預けるあなたの髪を撫でながら。




「主人とは、上手くいってるの、有紗も大事にしてくれて本当、私には勿体無い人……あ、オバサンの独り言だと思ってね?あなたがサロンで綺麗にしてくれるたびに必ず褒めてくれるの、毛先1センチ切っただけでも気付いてくれる人を手放したりしないわ」







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