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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第2章 【愛しき人たちに囲まれて幸せなのです…】





男性が弱音を吐くときは早々ないので真剣に聞いてあげます。
解決は出来ないでしょうけど、一緒に考えたり共鳴してあげることは出来るので。
胸の上でそっと抱き締めて髪を撫でる。




「一人で悩まないで?一緒に悩みましょう?悠介くんだけの問題じゃないでしょ?」




「困らせたくないのにそんなこと言う男はズルいだろ……」




「ズルズルと答えを出さない私の方がもっとズルいわ……」




「十和子ちゃんはズルくない、俺が諦めきれないのが悪いんだ、わかってるけど……見捨てないで欲しい」




「見捨てるだなんて、そんなの……私が出来ない、ズルくて、弱くてごめんなさい」




「お願い、もう会わないなんて言わないで…!十和子ちゃんから聞きたくない……このまま……このままで居て?」




人間は、皆、弱い………本当は。
底の底は脆くて、一人だけじゃ立ち上がれない。
なのに、貪欲で強かで、時には何かにしがみついて生きていく。




「言わない……この関係が終わる時は、悠介くんの口から“終わりたい”って出た時だよ」




「もし言ったら、十和子ちゃんはそれ飲み込むの?」




「嫌だけど……悠介くんがそれで幸せになるなら私はそれを止める資格はないよね」




所詮、この関係も現実逃避。
逃避行は疲れる。
いつか、綻びが出来て埋められずに破綻へと向かう。
ちゃんと、現実と向き合わなければならない時が来る。




ギュッと抱き締められて「嫌だ」と駄々をこねるあなたは可愛らしいよ。
年上のくせにまだそんなことを言っているの?
そうね、そうなるように心を奪っていったのは私だものね。




「十和子ちゃんが好き過ぎて離れられない俺を見限らないで」




「そんなことしない、絶対に」




「愛してる……愛してるよ、十和子ちゃん」




「私もよ、悠介くん」




年上だけど“くん”呼びなのは本人からの希望。
私もその方が亨さんを思い浮かべなくて良い。
呼び捨てにして欲しいみたいだけど、なかなか踏み切れなくて。
というより、そろそろ特別感を出してあげた方が悦ぶのかしら。




優しいキスから再開して私は彼に抱かれる。
なくてはならない現実逃避。
ゾクゾクするほど感じる背徳感に酔いしれていくのです。









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