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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第2章 【愛しき人たちに囲まれて幸せなのです…】





「十和子ちゃん」




指定された部屋を訪ねると私をそう呼んで迎え入れてくれたのは亨さんの後輩、伊藤悠介さん。
長らく不貞行為を続けている相手の一人です。
働き盛りの四十を過ぎても尚、身を固めずに私とのセックスに溺れてくれている。
いえ、私が手放してあげないだけかも知れません。




彼はとても素直で真っ直ぐな人。
亨さんの信頼も一番厚い。
唯一バレていない関係なのでしょうか。
それとも、亨さんのことですから、全て知っている上で泳がせているのかも。
どちらにせよ、こうしてわざわざ遠方に出向き逢瀬を重ね縛りつけているのです。




「逢いたかった」と言われれば「私も」と返す。
待たせてばかりで悪い……などは一切思いません。
基本、放置は当たり前のプレイなので。
我慢出来た人だけに更なる愛を与えて差し上げるのです。




専業主婦なので、限られた時間の中で身体を重ねる。
目の前で携帯の電源を落としてくるの。
誰にも邪魔されたくないからと。
だから私も同じように電源を落とす。




「好きにして良いよ」




いつもの言葉で彼を翻弄する。
数時間前まで他の人に抱かれていた身体を今はまた別の人に差し出している。




「昨日は先輩に抱かれた?」




わかってて聞いてくるのも相変わらずね。
答えはどちらでも、今から激しく抱き潰してくるくせに。





「聞かないで……セックスに集中して」




「わかった」




2人きりだと敬語じゃなくなる。
実際、私が年下なので気にはなりません。
寧ろ、Sっ気を出して来られた方がウズウズする。




丁寧に服を脱がされてベッドで抱かれる。
あまりにも丁寧過ぎて物足りなくもなります。




「ねぇ、久しぶりで緊張してるの?それとも、仕事で何かあった?」




一瞬で見抜いた私に観念したのか、不安を漏らしてきた。




「毎晩キミを抱けたらって思ってしまう……困らせたくはないんだ、わかってて始まった関係だということも充分わかってる、ただ、幸せそうな先輩を見てると壊したくもなる……俺に抱かれてる時もとても綺麗なんだって言ってしまいそうになるよ、言わないけど」









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