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千年の恋
第14章 特別な教育
「女性の体はだいたい28日をサイクルに、赤ちゃんのベッドを用意し、排卵、つまり受精する準備を整え、受精しなかった月には月経が来る。女性の体のサイクルは月の満ち欠けと繋がっているんだ。だから月のもの、と呼ばれることもある。日々の体の変化で宇宙を感じられるなんて、女性は本当に神秘の生き物だと思うよ」

「月と、体が繋がっているんですね」

私は月明かりに照らされる庭を思い出した。夜空で煌々と輝く満月に見降ろされながら、私はその月が欠けていく日数を数えていて、そんな私を優しく抱きしめる誰かがいる…このころ、そんな夢を時折見るようになっていたのだ。


「反対に男は、いつどんなときだって、女性に受精させるための行為をすることができる。そこには宇宙と繋がるどころか、ただ気持ちよくなりたいと言う欲求だけで突き動かされるようにできている」

「ただ気持ちよくなりたい…」

「そう。男にとって性交は一瞬の快感でしかない。けど女の子にとっては一回の性交が一生を変えるんだ。赤ちゃんができて、お母さんになるからだ。だから女の子は、本当に自分を大切に思い、女の子の体の神秘に敬意をはらえる男性を見極めて選ばなければいけない」

御藤先生は額に汗をかきながら熱心に語りかけてくれた。私は興奮で顔が赤く火照るのを感じた。

「先生は、女の子の神秘に敬意を払える人ってことですね」

「もちろんそうだ」

私が羨望の思いで先生を見つめると、先生はハンカチで汗をぬぐいながら、照れ臭そうに笑った。

「先生、大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫だけど、水をもらってもいいかな」

御藤先生は水を一気に飲み干し、今日はこれで失礼するよ、と立ち上がった。

「先生、待ってください。今日は素敵な授業、ありがとうございました」

先生は心なしか潤んだ瞳を私に向けた後、すっと微笑んでマンションを出て行った。
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