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千年の恋
第16章 情交
=黎佳=

おじさまの腕に絡みついて、夜のパークを歩いた。

濃紺に染まった夜空にぼんやりと幻想的な光で白い古城が浮かび、その背後に花火が弾ける。

胸を打つ爆音とともに空に散らばる光の花びら。それを無心に見上げるおじさまの横顔を盗み見た。まるで少年のようだと思った。

「楽しかった…もう私へとへとよ」

「僕はまだ元気だ」

「本当に?」

「いや、黎佳が疲れたと言っても、俺は元気だと言おうと決めていたんだ…本当は風呂に入って、ふかふかのソファーで酒を飲みたい」

「なら、そうしましょう」

私たちはゲートを出て、ヤシの木が立ち並ぶリゾート地さながらの大通りを渡ると、ライトアップされた庭園を抱き寄せるように湾曲型に建てられた建物に向かった。

翌日も朝からパークで遊べるようにと、おじさまが手配してくれていたホテルだった。


エントランスに到着するとドアマンが

「お帰りなさいませ門倉様」

そう言って出迎えてくれた。すぐにやってきたスーツ姿の男性がおじさまにあいさつした。

このホテルはおじさまの企業も参加するグループ会社で建てたらしく、今もお付き合いが続いている、とおじさまは言っていた。

「お嬢様、お持ちいたします」

美しく髪をまとめ、首元に白いリボンを結んだフロントクラークの女性が、手袋をした手で私の荷物を持ってくれる。

ガラス張りのエレベーターからは、最上階まで吹き抜けになっているロビーが見えた。

カゴが吸い上げられるように動き出すと、非日常を味わうためにやってきた人々でにぎわう広間がみるみる小さくなっていった。
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