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横を向いて歩こう
第4章 私たちそんなんじゃないから。
「これで寂しくないな。」

松下をアパートの下まで送る

明日は次男の授業参観だわ~とボヤキながら
颯爽とヘルメットを被った

「ありがとね。色々。」

「やけに素直だな。」

「あんたのおかげよ。」

「じゃあ付き合うか。」

ふぅーっと息を吹く
夜風が気持ち良かった

あたしは松下のおどけには答えず
ただ夜風に漂う




同僚が行ってしまうと部屋では太一がサラダを作っていた

「姉ちゃんも食えば?」

これなら同居人も悪くないな

「てかさ、姉ちゃんあの人と結婚すれば良かったのに。」

「ははっ。だよねぇ。」

笑うしかない
んなことわかってる、弟よ
そうはいかないから、さ。


松下は誠にしろ太一にしろ、不思議とあたしの家族と馴染んだ

弟にも分かるのだ
あたしたちが合ってること
理屈じゃない
合うもんは合う

「松下さんにゴルフ誘われたんだけどさー。」

「いつの間に連絡先聞いたの。」

「行ってもいい?」

「いやいや、あたしに聞かれても。」

「だって昔の男なんでしょ。」

はぁ
もう否定がめんどくさい

「いいよ。行っても。」

「やったー。」

太一が子供みたいに喜んでいる

「ビール飲んでいい?」

「いいけど買い足しといてよ。」

「姉ちゃん明るくなったじゃん。」

「ふふっ。わかる?彼氏できたー。」

「はやっ!」


早さなんて関係ない
あたしはもう次に進みたいのだ




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