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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
カタカタと慣れた手付きでインボイスに必要な情報を入力していく。そして、それが終われば次はオークションで目を付けている車の価格チェックだ。
ウチは、従業員の趣味用車が五分、利益重視の車が五分で海外に輸出している。
前者ならば、ハコスカGT-RやケンメリGT-Rが趣味も兼ねて一番莫大な利益を出した代物だろう。今は旧車ブームという事もあり、一台3000万オーバーは普通に有り得る話だ。他にもフェアレディを改造して販売したり、ミニのエンジンを付け替えて販売したりと、車好きかつ整備士上がりの従業員が多いからこそ出来るシゴトを結構こなしている。
後者の利益のみ重視となれば、対外的には最近ならばアルファード一択だろう。昔はワンボックスカーは年寄り臭くて人気がなかったみたいだけど、最近はスタイリッシュだし、やっぱり日本車は頑丈で高級感があるとの事でアメリカのハイクラスの人達が結構、色々と買い漁ってくれている。
私達は、そういった海外で売れそうな物を日本の市場で安くで買い取り、多少の整備をしてから、それを契約しているアメリカやヨーロッパの会社に売ったり、実際にネットを使って競りをしてみたり、現地に持っていって展示会に出してみたりとしているのだ。
入社当初は、せいぜいフェラーリやベンツ位しか知らなかった私も今では同級生の男の子とサシで車トーク出来る位の知識を持った。
……だし、車ってのは知れば知るほど確かに奥が深くて面白い。男のロマンって言われてる理由も何となく分かる気がする。
「流川ー、もう一杯コーヒー淹れてくれー」
「はーい!全員分淹れまーす!」
プリントアウトの設定をしてから、そそくさとキッチンへ向かいフィルターをセットする。
ドリップコーヒーが好きな男ばかりの職場ってのも、細かい作業を要す整備士あがりが多いってのが何となく想像出来る要因の一つだ。
こだわりが強いっていうか、何というか──。