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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
「はじめまして、同席させて頂きます流川リサと申します。」
「はじめまして、リ・ウンサンです。宜しくお願いします。」
流暢な日本語でそう返事を返されて、少し驚いた。訛りは多少あるけれど、とても聞き取りやすい日本語だった。
「本日、代表がこちらに伺う予定だったんですけど、中国の方で政府の人間と話す大事な用事が出来まして、急遽、副社長の私が伺う事になりました。」
「政府の人間、ですか?」
わたしと社長の声が被った。
「はい。と言いましても、変な事では無く、国営会社の社用車としてウチが扱う車を使ってくれないか、というビジネスの話で御座います。」
「あー、なるほど!……ていうか、それ凄いですね。会社にとっても利益になるじゃないですか!」
「そうなんですよ、ですから代表が中国に一度帰国する事になり…」
「いやいや、そんなんウチみたいな弱小会社と話すよりも是非!政府の人と話してもらわないと!な、流川!」
「そうですね!」
「ハハッ、そう言って頂けると助かります。今のこの話と中国側との話が上手くいけば、双方の利益も大きくなると思いますので…本日は宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しくお願いします!」
社長が深く頭を下げるのを見て、私も同じ様に頭を下げた。……差別だって思われるかもしれないけど、中国人の人がこんなにも丁寧に話をしてくれるなんて、少し拍子抜けだな。
もっとガツガツとしたイメージがあったのに。