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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
「では、こちらからお話をさせてもらいますと」
と予め用意しておいた、向こうの希望の車種が沢山乗っている自家製パンフレットを開きながら話を進める社長の隣で私もノートパソコンを開く。
「そちらのご要望であったアルファードは型にもよりますが、大体最低でも300万円からの販売となっておりまして…」
やっぱりアルファードなんだ、と思ったのもつかの間。真剣な眼差しで話を聞く李さんの耳が柔道耳のように潰れているのが気になった。
……中国といえばテコンドーとかのイメージだけど、李さんも柔道していたのかな?それにしては、結構がっつりと形が崩れている。
「……ですので、高級車というイメージそして、走りやすさや頑丈さを考えるとクラウンやレクサス辺りが無難なようにも思えます」
「なるほど。型落ちのランドクルーザーとかはどうですかね?」
「型落ちボックスタイプのでしょうか?」
「はい。」
「あー、それは…ん〜高級車っていうより、軍用車っていう感じに近いですかね。でも、やっぱり日本製だからゲレンデと同じように走りやすいし、頑丈ですよ。」
「なるほど…」
真剣な眼差しで話し合っている内容を、私は淡々と分かりやすく議事録にしてまとめていく。
今日はこの会議が終わったら、またオークションを見て、メールの返事を返して、自社サイトに出品している物の反応を見て……。何だかんだ忙しい日になりそうだ。