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I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
「あの....ありがとうございました。上手く断れなくて困っていたので、凄く助かりました。」
尾崎が去った後、私は気まずくなった空気を打ち消すように開口一番に頭を下げた。
「礼には及ばない。お前の写真が悪用され、果ては暴行を受ける前で良かったと心から思っている。」
「す、すみません...。何度も断ったんですけど、しつこくて。写真を撮らせれば引き下がるかなと思ったんです。迂闊でした。」
「.....ああいう奴らは無視一択でいい。そういった対応には慣れている。今後話しかけられたとしても、決して相手にするな。」
「は、はい....。肝に銘じておきます。」
私がそう言うと、黎一さんの強張った表情が和らいだ。
「そういえば買い物は済ませたのか?足止めを食らっただろう?」
「まだです。実は化粧品だけ買えてなくて...。」
「分かった。付き合う。」
「あの...自分で買いますので!!」
私が念を押すように言うと、黎一さんはプッと吹き出した。
「ああ、分かっている。私はあくまで付き添いだ。安心したか?」
「は、はい....。良かったです。」
「では行こうか、美月。」
黎一さんの大きな手は、一回りも小さく子供のように見える私の手を包み込んだ。
そのまま路地裏を通過し、雑踏を通り抜ける。
安堵感に満たされる一方、何処かに鬱屈した気分が晴れぬまま、当初行く予定だった百貨店へと足を運ぶ事となったのだった。