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ふぞろいのザクロたち
第8章 裏取り引き

エミリーとカフェで別れてから
彼女に教えてもらったモバイルナンバーに
京塚広は連絡を取ってみた。

何度か呼び出し音が響くけれど
一向に通話に出てくれない。

見ず知らずの番号だから
彼も用心しているのかもしれない。

しばらくの呼び出し音の後、
女性のデジタル音声が応えた。

『電話に出ることができません
ご用の方はピーという発信音の後に
ご用件をお話しください』

ほどなくしてピーという電子音が響いた。

「あ、お久しぶりです
広です、京塚広です。
○○企画でご一緒しました
今、仕事にあぶれていて…
良ければ仕事を手伝わせてください」

返信してくるだろうか…

この番号だけが頼りなんだ…

傍らでも恵美里が同じ気持ちなのか
指を組み合わせて神に祈るポーズをしていた。

電話がかかってこない…

ダメか…

諦めかけたその時だった
広のスマホが震えた。

慌てて応答すると
『おう!おひさじゃん、
何だい何だい、仕事が欲しいって?
あの時、俺の誘いを断っておきながら
やけに調子がいいじゃねえか』

「あの時はほんとにすんませんでした。
俺、写真で食っていけると自惚れていたんです
もう、すっからかんなんすよ」

『まあ、雇ってやれんこともないが…』

食いついてきた!

「タダとは言いません、俺の彼女を紹介します
顔もスタイルもまあまあイケてると思います」

『彼女と二人して俺にたかろうってのか?
それなら二人で一人分のギャラでいいか?』

「ええ、そりゃあもう。
彼女とセックスをして金になるんなら
それだけで充分ですから!」

せっかく食いついてきたのだから
逃がしてたまるかと
京塚広は必死だった。

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