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恍惚の日々
第1章 誰?
「えーと…君は、あ、そうそう、織本かなえ君だったね?」
「あ…はい、新幹線の…」
総支社長の桐谷淳之介。
名門中の名門支部を作り上げたという、あの、名前だけは知っていた。
しかし、この靴音は……
まさかね。この建物の中の靴音と、付き纏いの、外で聞いた靴音が似てただけよね?
それにしても、素敵…
スタイル、ルックス、声…あー、目眩がしそう。
「忙しい支社だけど、頑張って。」
あー、エールと笑顔。もう、蕩けそう…
「頑張って」の優しい声が頭の中をぐるぐるぐるぐる渦巻いていた。
何でこんな遠くの支社へ転勤なの?まるで罰ゲーム?などと、文句タラタラ、不安満タンだったあたし。
今では、そんな文句や不安は吹っ飛び、敏腕ナイスダンディの総支社長のお膝元で仕事が出来ることに感謝していた。
週に一度は支社に顔を出す総支社長。それだけで職場に居られた。
ものすごくこの仕事が好きってわけじゃない。やり甲斐はあるけど、仕事だから、お金欲しいから、だから仕事してる。そんな程度だ。
今では、総支社長の声に敏感になっているあたしが居た。
「総支社長って独身なんだってよお!」
「硝子張りのマンション持ってんだってー!」
「女には事欠かない名うてのプレイボーイって噂だよ!」
ホントか嘘かはわからないが、40代で、バツ無し独身というのだけはホントらしかった。
今日もビシッとプレスされたワイシャツにスーツを着込んだ、ダンディな総支社長が姿を見せた。
「織本君。」
ビクッ!ゾクゾクッ!
ヤバい!耳が熱い!顔がほてる!返事しなきゃ!
「はいっ!」
「元気はいいみたいだけど、顔が赤いよ?熱でも?」
不意におでこに手を当てられ、あたしは足元がふらつき、貧血を起こしそうなくらいの目眩を覚えた。
「い…いえ、大丈夫です!」
「うん、熱はないみたいだね。気をつけて。」
「は、はいっ。ありがとうございます。」
明らかに動揺していた。
総支社長がニヤリと含み笑いを浮かべていたことなど、気付くはずもないあたしが居た。
「あ…はい、新幹線の…」
総支社長の桐谷淳之介。
名門中の名門支部を作り上げたという、あの、名前だけは知っていた。
しかし、この靴音は……
まさかね。この建物の中の靴音と、付き纏いの、外で聞いた靴音が似てただけよね?
それにしても、素敵…
スタイル、ルックス、声…あー、目眩がしそう。
「忙しい支社だけど、頑張って。」
あー、エールと笑顔。もう、蕩けそう…
「頑張って」の優しい声が頭の中をぐるぐるぐるぐる渦巻いていた。
何でこんな遠くの支社へ転勤なの?まるで罰ゲーム?などと、文句タラタラ、不安満タンだったあたし。
今では、そんな文句や不安は吹っ飛び、敏腕ナイスダンディの総支社長のお膝元で仕事が出来ることに感謝していた。
週に一度は支社に顔を出す総支社長。それだけで職場に居られた。
ものすごくこの仕事が好きってわけじゃない。やり甲斐はあるけど、仕事だから、お金欲しいから、だから仕事してる。そんな程度だ。
今では、総支社長の声に敏感になっているあたしが居た。
「総支社長って独身なんだってよお!」
「硝子張りのマンション持ってんだってー!」
「女には事欠かない名うてのプレイボーイって噂だよ!」
ホントか嘘かはわからないが、40代で、バツ無し独身というのだけはホントらしかった。
今日もビシッとプレスされたワイシャツにスーツを着込んだ、ダンディな総支社長が姿を見せた。
「織本君。」
ビクッ!ゾクゾクッ!
ヤバい!耳が熱い!顔がほてる!返事しなきゃ!
「はいっ!」
「元気はいいみたいだけど、顔が赤いよ?熱でも?」
不意におでこに手を当てられ、あたしは足元がふらつき、貧血を起こしそうなくらいの目眩を覚えた。
「い…いえ、大丈夫です!」
「うん、熱はないみたいだね。気をつけて。」
「は、はいっ。ありがとうございます。」
明らかに動揺していた。
総支社長がニヤリと含み笑いを浮かべていたことなど、気付くはずもないあたしが居た。