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恍惚の日々
第4章 誓約書
バスタオルを巻いて、バスルームから出る。

着る服がないことに、今更気付く。


「ゆっくりできた?」

「はい…あのぅ」

「ん?」

「服が…」

「ああ、そうだったね。さて、どうしたものか(笑)」

「………」

「そのまま待ってて。私もシャワーを浴びてくるから。お腹も空いたしね!」



桐谷は、かなえを置き去りにしてバスルームへ行った。


ピンポン!ピンポン!


「えっ?誰?誰か来た!」
「淳之介さまぁ!誰か来たぁ!」


「悪いが出てくれないか?」

「え…えーっ!」


ピンポン!ピンポン!


胸ギリギリからお尻ギリギリまでしかないバスタオルを一枚巻いてるだけのかなえが焦るのは当然のことで、桐谷の計算の上だという簡単なことすらわからないくらい動揺している。


ピンポン!ピンポン!
ピンポン!ピンポン!


「はーい!今開けますぅ」


玄関扉を前にして、またも躊躇してしまう。

スッと、かなえの前にバスローブを着た桐谷が立ちはだかり、扉を開けた。


「やあ、すまなかったね。ちょっと風呂に入ってて。」

かなえは、さっと部屋に隠れていたのだが、覗いて見ると、なんとも豪華なデリバリー。

呆気にとられていた。



手際よく、桐谷がテーブルに運び、セットする。

「海のもの尽くしだよ(笑)川魚は今度ね。さあ、おいで。」


バスタオル一枚で居ることを忘れたかなえは、テーブルの豪華な御馳走にくぎ付けになった。




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