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砂漠の月、星の姫~road to East~
第2章 第二夜【国境の月~road to east~】 
 男は自嘲めいた笑いを零し、独りごちた。
「たとえ私が死んでも、何も変わりはしない。故郷には両親は既に亡く、私の死を悼む妻や子もいない。この広大な砂漠は私の骸(むくろ)を呑み込んで、相も変わらず今までと同じように存在し続けるだろう」
 タリムは察した。無常を感じたがゆえに、彼は吟遊詩人に身をやつし、一人、軍を離れたのだろう。今更、どこにも自分の居場所を見つけられなくて、追われるように当て所(あてど)のない旅に出たのかもしれない。
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