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羊にご用心!?
第2章 ~お嬢様、躾のお時間です~


「やっ! な、何、降ろして」

「お嬢様、暴れると落ちますよ?」

 ひ弱な犬コロに見えたアルはお嬢様を軽々と抱きかかえた。リリムを支える彼の腕が薄いナイトドレスからマジマジと伝わってくる。

 アルはお嬢様をソファに降ろして、ナイトドレスのリボンをしゅるると躊躇する事なく解いてしまった。

 あろうことか執事のアルは、本気でお嬢様の着替えをしようとしているようだ。


「や、やだっ」

 ハラリとナイトドレスがはだけ、リリムはフリルを掴み胸を隠す。


「お嬢様?」

 アルはソファに座るお嬢様におおい被りリリムを怪訝そうに見ている。

 大きくコロコロとしたスカイブルーの瞳が、真っ直ぐにお嬢様を捉えていた。

 リリムは間近に迫るアルの双眸に冷静さを保って居られなくなってしまう。はだけた自身のナイトドレス姿に狼狽しなから、犬コロ執事は男なんだと否応なしに感じてしまう。


 ────こ、これじゃ私がひとりでドキドキしてるみたいじゃない。

 
「き、着替えはダメ、執事の仕事じゃないわ」

「どうしてですか?」

「ど、どうしてって…………裸になるのよ?」

「ご安心下さいお嬢様、ワタシは気にしませんから」

 と、ニコリっと愛くるしい笑顔を向ける。


 
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