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碧い雨の夜に…
第5章 【不変的に……】
「あの、これ、受け取ってください!好きです!」
「え、あ〜ありがとう!」
これはどういう状況!?
最近よく女のコに出入待ちされてプレゼントもらったりする。
タオルとかスポドリ、たまに手作りなのかお菓子系。
中には熱いメッセージの入ったラブレター的なお手紙も。
スタジオに入所希望者が殺到して今では受付終了しているくらい。
やっぱり世界のスターとコラボしたのがどんどん広がっていってる。
雑誌や朝の情報番組にちょろっと特集組まれたりして取材も相次いだ。
実際に来年4月から始まる全国ツアーに同行するようオファーもきている。
オーナーは勿論二つ返事でOKを出しているし、また同じメンバーでの集結だから気も楽だ。
「日本と韓国は絶対に行く!チケット死ぬ気で取るから!」ってナオも鼻息荒くしてたっけ。
専属バックダンサーになりつつある私たちですら目まぐるしさに食らいつくのがやっとだ。
次から次へと新しい振り付けがやって来る。
「おい、待て、俺が毒味する」って美味しそうなクッキーを取り上げ一口かじるのは空気の読めないアキラだ。
クンクン匂いを嗅いで警戒して口に運ぶ。
「ちょ、それ私が貰ったんですけど」
「バーカ、ちょっとは疑え、下剤が入ってたりするかも知れないんだぞ?お前に何かあるのは嫌なの、俺……ウッ!」
噛んだ途端に口押さえて蹲るからこっちも焦る。
頭真っ白になって私もしゃがんだ。
「出して、アキラ早く!」と両手を差し出し訴える。
首を振って拒むもオエってなるから背中擦って「良いから出して!」って大きな声出しちゃった。
「ねぇ、アキラ、汚くないから全部出してってば」
切羽詰まる私にゴックンしてケラケラ笑い出す。
その瞬間におふざけだとわかり背中を一発叩いてやった。
「え?え?俺の吐いたやつとか触れちゃう系?凄い愛感じちゃったな〜俺、嬉しい」
こういうの、イラッとくるよね。
舌打ちして全部取り上げ返し私も一口食べる。
普通に美味しかったよ、入待ちしてくれてたショートカットの可愛い女のコ。
アキラ的にも教えようとしてくれたんだろうけど何かムカつく。
「触れるよ、命に関わるかも知れないならね、もう少し遅けりゃ口の中に指突っ込んで吐かせるとこだったわ」