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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
初対面で泣きっ面とか恥ずかし過ぎる。
ニッコリ微笑んでくださって握手してくれた。
はじめまして、と声もナオと似てる。
今みたいに女のコバージョンの時はこの声だ。
「笹本理世です、なおとさんとは……えっと」
「真剣にお付き合いしていて一緒に住んでる、彼女と出逢って僕の価値観は変わった……今はとても良い刺激を受けてる」
そっか、事務所も把握してるんだね、言って良かったんだ。
「そう」と優しい声でナオの話を聞いている。
全然厳しそうに見えないけど大丈夫なのかな?
どう思われてるかわからないけど。
「私はどんな奈央人も息子には変わりないもの、少しびっくりはしたけど今の姿を見て堂々としているのは何か逆に安心したわ、でもその……ちゃんとお付き合いしてるってことはそのままの男女ってことで良いのよね?まさか彼女は男性で…とかややこしいことじゃないわよね?」
混乱するのも無理はない。
私ですら最初は本当に女のコだと思っていたから。
息子の性の対象が男なのか女なのか、確認している。
そっか、そうとなれば私も男に見えたりするのか。
目を見合わせて笑ってしまった。
「はい、大丈夫です、私は正真正銘、女です」と安心させる。
「えっと、リセさんと言ったかしら?奈央人はね、あまり昔から自分の気持ちをちゃんと伝えるのがちょっと苦手な子だったの、それが自ら日本に行ってモデルの仕事をするって言うもんだからびっくりしてね、渋々納得して送り出したけど心配で堪らなかった、あまり連絡も寄こさないし何度か事務所にどんな様子か聞いたこともあるわ、こうしてわざわざ来て嫌がるだろうけど来て良かった、あなたみたいな人が近くに居て奈央人は変われているみたいね、息子を支えてくれてありがとう」
聞きながら涙が出そうになった。
お父さんは此処に来てるのを知らないみたい。
出張中に思いきって来たと言っていた。
「親子水入らずの時に来ちゃってすみません、奈央人さんは一生懸命頑張ってます、ちゃんと自分を持っていて尊敬するし私も良い刺激を毎日貰ってます、あの、今の奈央人さんを受け入れてくださってありがとうございます、いえ、産んでくださってありがとうございます」