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放課後のマドンナ
第9章 本当の愛
それから、ほどなくして美佐恵の妊娠がわかった。
それが淳一だった。
そんなデキ婚だったので
両家の親からも親族からも
あまりいい顔をしてもらえなかった。
それでも愛さえあればいいと
美佐恵はどんなときも笑顔を絶やさずに
家庭を守ってきてくれた。
息子の淳一にも
たくさんの愛情を注いできたつもりだ。
それが、どう間違ったのか
引きこもりだって?
堅物ゆえに柔軟な考え方が出来ない。
もし万が一にも、
美佐恵を泣かすことがあれば
息子とて容赦はしない。
力ずくでも部屋から引きずり出して
往復ビンタの嵐をお見舞いしてやる。
一週間は好き勝手にやらしてやろうじゃないか
リミットはあと3日だ。
3日のうちに部屋から出てきて
美佐恵を喜ばせなければその時は俺の出番だと
正昭は腹を括った。
こんなことになるなら
都会で伸び伸びと学生生活を
送らせておくべきだったか…
「あの子、今夜も食べないんですって…」
せっかくの料理が勿体ないわね
そう言って美佐恵はトレイの淳一の夕飯を
つまみ食いし始めた。
「また太るぞ」
新婚当時の面影もないほどに
美佐恵はふくよかになっていた。
天真爛漫な美佐恵のお陰で
今回の淳一の引きこもりも
いつかは笑い話に出来そうな気がした。