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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第13章 特別クロッキー会①
とうとう梨果がモデルとなる特別クロッキー会の時間が迫ってきた。

教室に残る講師と川瀬氏、富山氏に真田氏。
その他の受講者はこのあと何が行われるのかは知らず少しずつ帰って行った。

私は一度外に出て梨果の到着を待つことにした。
学校帰りに駅からいつもの自転車に乗ってやってくることだろう。
梨果には昨日連絡したが電話に出ることはなかった。それ以前は一週間前に電話で話したきりだった。

外のベンチで秋の夕暮れを見ながら待っていると一台の高級車が入ってきた。

運転席には田村氏がおり、助手席にはなんと…梨果が座っていた。

(なぜ梨果が田村さんと車で?)

駐車スペースに停まり二人は車を降りて入口のあるこちらに歩いてきた。

梨果に会うのは二週間ぶりだった。

冬服の制服姿の梨果にはいつもの笑顔はなく、俯き加減で歩いていた。泣いた後のような目をしていた。

(なにか様子がおかしい。まさか……。)

「やぁ。外で何をしているんだい?」

田村氏は私を見つけると声をかけてきた。

「こんばんは。少し外の空気を吸いに…。」

「ははは、洋子さんに精気を吸われましたか?そろそろ特別クロッキー会の時間ですよ。“ヌードモデル”もこうして連れてきたしね、では“梨果”行こうか。」

「……はい。」

(梨果を呼び捨てだと…?)

田村氏と梨果は施設内に入って行った。
私も後を追い教室に向かった。

二階に上がる梨果の足取りは重そうだった。
教室の扉の前に着くと梨果は立ち止まってしまった。表情はなく目も光彩を失っているようだった。

「どうしたんだい?はやく入りなさい。」

8月のトラウマが蘇ったか、梨果は教室の前で足を止め中に入ろうとしなかった。

田村氏が扉を開け梨果の背中を押し無理に教室内に入れた。

(梨果に手を触れやがって…。)

教室内に待ちわびていた4人の男たちが一斉に梨果に視線を注ぐ。
最後に私が教室に入り扉を閉めた。
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