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だから先生は頼りない
第2章 爪先
役名までは被ることはなかったけど。
針谷で抜くよりは罪悪感がなかった。
だから、急いで脳内を三瀬柘榴の声とイラストで埋め尽くす。
元気に反応して上を向く猿みたいに単純な性器を小指から包んで、待ちきれないように激しく動かす。
「っは、つ……う」
歯を噛み締めて脚をすり合わせる。
放課後の理科室で乱れる二人の声優のやり取りに頭がぼーっとする。
夢中で音量を上げ、水音を立ててひたすらにスライドさせた。
喉奥がキュッと締まり吐息が苦しく漏れる。
指に絡んだ精液が付け根を垂れていく。
役名はトオル先生。
でも、名前を呼ばれることはほとんどないから「先生っ、せんせっ」と相手役の声が自分と重なる。
後ろから腰を掴まれて密着したまま犯される。
首筋に舌が這って、空いた手で扱かれる。
「あ、んん、っふ」
声を殺して達した快感にしがみつき、体を震わせる。
荒く酸素を求めて口を大きく開き呼吸を整える。
まだ耳のそばで喘ぐ声が響いている。
いつも、こっちが果てる方が早い。
でもそのせいでまた勃ってくる。
いいのはそっちの声だと言いたくなる。
ティッシュにべたついた手を擦りつけて、丸めてゴミ箱に突っ込む。
おさまらない。
たかが日記の分を思い出しただけでこんなに。
「最、低」
目を細めて声を落とし、もう一度達するために指を締め付ける。
いくらでも出そうだった。
足元を流れていく温かい湯が排水溝に消えていくのを見つめる。
シャワーをキュッと止めて濡れた髪から滴る水滴が足の甲に跳ねた。
「いつまでこんなこと……」
賢者タイムなんて生易しい言葉じゃない。
あんな抜き方ずっとやっても虚しいだけなのに。
でも想像の中で抱かれるよりはダメージ少ないかなって。
しゃがみこんで涙を拭う。
なんなら三瀬柘榴を先に好きになればよかったんだ。
声優相手なら顔を見ることもないし。
いくらでも濡れた声を聞けるし。
慰められるし。
無茶なことする心配もない。
イベントになんて行けるわけないし。
名前呼ばれたら、それだけを夢見て満足できそうだし。
過去の音源漁りだけを楽しみにして。
少ない小遣いを叩いて。
肩を抱いて項垂れる。
さっさと童貞を捨てとけばよかった。
こんな趣味になる前に。