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第1章 再会

20年前の大学生の時に付き合っていた彼から突然電話があった。

「久しぶり。内田だけど。覚えてるかな？」

決して強気ではないその声は、その人の性格を表しているようで
その優しさが大好きだった。
忘れたくても、忘れられない声だった。

一気に大好きだった20年前の気持ちを思い出した。

「内田・・・くん」

私が副社長をしている会社にいきなり電話してきてびっくりした。
「久しぶりだな」
そう切り出した内田君の話を少し聞くと
内田君は今、小さな会社を奥さんとやっていて
業界紙に載っていた主人と私の記事を読んで驚いたらしい。

まさか20年前に別れた元カノが、自分の業界のトップを走る会社の社長夫人で、しかも私自身が副社長になっているとは思いもしなかったに違いない。

そこから会社の電話番号を調べたのだという。

「久しぶりにちょっと会って話せないかな」

私は懐かしさも手伝って会う約束をした。