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第7章 チルチルミチル

「石田さん、今日の星占いは『勇気を出したらいいことがある』そうですよ」
同僚の男が昼休みに競馬新聞を読みながらそう言った。

「勇気って何だよ？」
「さぁ？」
「工場長にこんな仕事は飽きたって言うのかよ？」
「石田さん、その勇気はいいことないと思います」
「だよな」

タバコをぷかぷかとふかしながら、くだらない話をする昼休み。
早く今日も仕事がおわんねーかな。
昨日中古屋で買ったゲーム続きやりてーなぁ。

梅雨の空は雨がシトシト降っていて、まとわりつく湿気が気持ち悪かった。

そんな俺が工場から帰ろうとした時、明らかにカタギの人間じゃない男が
嫌がる女の子の手を引っ張り車に乗せようとしていた。

助けるか？

いつもならここで見ないふりをしてさっさと通り過ぎるか、Ｕターンをするところだが
『勇気を出せば』その星占いをその時ふと思いだした。

助けるか？