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第7章 チルチルミチル

高校の制服を着た女の子は無理やり押し込められようとしている車の前で
必死に抵抗していた。

「イヤ！」

足がすくむ頭の中で同僚の男の声が聞こえる。
「石田さん、勇気を出すといいことがあるみたいですよ」

いいことって何だよ？
とっくに世の中に期待なんかしてないわ！
いいことって何だよ？

「わーーーーーー！」

思いっきり大声を出しながら、その怪しい塊の中に突っ込んで行く。

いいことって何だよ？
喧嘩なんかしたことがない。
いつもいじめられる側だった。

「なんだ？コイツ」

背広を着崩した男たちは俺の奇行にビックリして一瞬ひるんだ。
その間に男の手から女の子を引きはがして
「逃げて！」
と、叫んだ。

いいことって何だよ？
「でも！」
「逃げて！こいつらは俺が！」
そう言って、男たちの足にしがみついた。
男たちは思いっきり俺の顔や頭を蹴り続ける。

「早く！」

女の子が見えなくなるまで必死に足にしがみついて
俺は蹴られ過ぎて意識を失った。
いいことって何だよ？

「コイツ！ざけんなよ」

男たちは最後に俺の顔を思いっきり蹴りあげて車に乗って行った。

いいことって・・・なんだよ・・・