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ーFeardー
第7章 チルチルミチル
後日―――

すでに身寄りのない石田さんの遺品を取りに警察へ出向いた。

「結局、石田は餓死だと判定された」
「餓死、ですか・・・?」
「石田は彼女が出来たと言ってたのか?」
「はい。一緒に住んでいると言っていましたが」

「恐らく―――全て石田の幻想だ」
「え?」

「石田は汚物にまみれて餓死していた」
「・・・・」
「VRゴーグルをしたままな」
「VRゴーグル?ですか」
「バーチャルリアリティーを体験するためのゴーグルなんだってよ」
「・・・・」

「そのゴーグルをするとゲームの人物が3Dで目の前にいる様に見えるんだと」
「・・・・」

「石田が話していた彼女は、恐らくそのゲームの中の女の子だ」
「え!」
「石田はその子に服やバッグを買っていたんだよ」
「まさか」
「1度も使用した形跡が見られないからな」
「・・・・」
「闇金から借りてまで、ゲームの女の子に買ってやってたんだ。
バーチャルと現実の区別が付かなくなっていたんだろう・・・」
「そんな」
「最後はゲームに夢中になりすぎて、仕事にも行かず、飯も食わず、トイレにも行っていなかったんだろうって言うのが警察が出した報告だ」
「石田さん・・・彼女が出来たってあんなに喜んでいたのに」



「女の子なんて―――初めからいないんだよ」



“どなたか、もし鳥を見つけたら、ぼくたちに返していただけませんか?
しあわせになるには、ぼくたちには青い鳥が必要なんです”
モーリス・メーテルリンク【青い鳥】より


END****
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