パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第2章 第一部【白桜記】　其の一・高嶺桜

　幼時より信頼の身近にいたおさとの方は、彼のこの病を誰よりも心得ている。が、判ってはいても、打ちのめされた心はなかなか立ち直れない。元々は英明なお方なのにと、忌まわしい病のことを残念に思わずにはおれない。信頼がよく癇癪を起こし、些細なことで家臣を切り捨てたりするのも恐らくはこの病のせいではないかと思うのだ。遺憾ながら、どうも信頼にはこの病の症状がかなり強く出てしまったようだと認めないわけにはゆかない。