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蜜愛~男になった女~
第4章 第二部【こぼれ桜】 其の一 始まりの桜
信頼の側に寄り添うおさとの方の腕の中にはすやすやと眠るあどけなき嬰児(みどりご)がいた。その赤子こそが長松丸であった。
女子でありながら男と偽って生きていた聡一郎に妻帯は叶わぬことであった。盛綱は孫の顔を見ることなどとうに諦めていたのだ。が、予想外に聡一郎がおさとの方として信頼の寵を受け懐妊、若君を上げた。己れが心砕いて育てた主君と我が娘が結ばれ、世継ぎの若君まで生まれた―、盛綱は最期にそれを望外の歓びとして冥土へ旅立った。
女子でありながら男と偽って生きていた聡一郎に妻帯は叶わぬことであった。盛綱は孫の顔を見ることなどとうに諦めていたのだ。が、予想外に聡一郎がおさとの方として信頼の寵を受け懐妊、若君を上げた。己れが心砕いて育てた主君と我が娘が結ばれ、世継ぎの若君まで生まれた―、盛綱は最期にそれを望外の歓びとして冥土へ旅立った。