この作品は18歳未満閲覧禁止です
蜜愛~男になった女~
第4章 第二部【こぼれ桜】 其の一 始まりの桜
「父上ッ」
長松丸が一目散に飛んできて、信頼に飛びつく。
「おう、長松か。良い子にしておるか、また、おいたをして母上を困らせてはおらぬか」
信頼が長松丸を抱き上げ、眼を細めている。
長松丸の頭が大きくこっくりした。
「長松は男子にございます。大きうなったら、母上をお守りするのだとこの間、父上が仰せになったではありませぬか」
と、言うことだけは一人前なのに、信頼もおさとの方も思わず顔を見合わせて笑った。