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第4章 第二部【こぼれ桜】　其の一　始まりの桜

　長年信頼の側近として仕えてきたおさとの方には信頼の思案がよく判る。信頼はけして情け知らずではないけれど、己れが敵と見なした者には徹底的に容赦がない。たとえ養子として河北城に引き取ったとしても、頼母や信豊を処分した後、信頼が鶴千代をそのまま捨ておくとは思えない。生命を取ることはなくても、鶴千代にも何らかの形で処分を与えるだろう。おさとの方は幼い鶴千代が犠牲になることに躊躇いがあった。