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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
重ねての問いに、信頼は投げやりな調子で言った。
「上様ご薨去の報は公(おおやけ)のものなのか」
「いえ、天下の一大事にて、安易に外部に洩れては徒に人心を乱し動乱を招く怖れありと、いまだ内々の者が知るのみにござります。さりながら、本日中にはご訃報が公式に発表される見通しとのこと」
本来ならば、幕府の上層部しか知らぬ極秘情報を他家に先駆けて得るために、江戸留守居役は日々老中に付け届けを怠らない。まさに涙ぐましい努力である。
「上様ご薨去の報は公(おおやけ)のものなのか」
「いえ、天下の一大事にて、安易に外部に洩れては徒に人心を乱し動乱を招く怖れありと、いまだ内々の者が知るのみにござります。さりながら、本日中にはご訃報が公式に発表される見通しとのこと」
本来ならば、幕府の上層部しか知らぬ極秘情報を他家に先駆けて得るために、江戸留守居役は日々老中に付け届けを怠らない。まさに涙ぐましい努力である。