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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
 その日は朝から風の強い日であった。早朝、河北藩主佐伯信頼の名代として、分家の当主佐伯信豊が将軍家葬儀に参列のため、江戸に向けて発った。
 おさとの方の部屋で、信頼は熱い茶を呑んでいた。茶に添えてお美代が運んできた干菓子が小さな高坏に盛られている。長松丸はいつも父の訪れを愉しみにしており、今日も信頼はひとしきり幼い我が子と揚弓(的に玩具の矢を当てる遊び)をして遊んだところであった。
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