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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
愚鈍でろくな働きもできぬくせに、あまりに権力欲だけは強い信豊に、いささか頼母も辟易してきたようだ。この分では無事に事が成った暁、信豊が頼母の思いどおりには動かぬことに気付いたらしい。
恐らく我が子鶴千代が藩主になった時、信豊は実父であることを理由に後見として思うがままに権勢をふるう気に相違ない。確かに信豊を幼き藩主の後見に推すと約束はしたものの、まさかこれほど信豊が愚かで使えぬ男だとは思っていなかったというのが実状であった。
恐らく我が子鶴千代が藩主になった時、信豊は実父であることを理由に後見として思うがままに権勢をふるう気に相違ない。確かに信豊を幼き藩主の後見に推すと約束はしたものの、まさかこれほど信豊が愚かで使えぬ男だとは思っていなかったというのが実状であった。