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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
「可愛い奴だな、そなたは」
信頼が呟いた刹那、おさとの方の中で熱いものが迸った。おさとの方の白い身体がのけぞり、花のような唇から微かな声が洩れる。
部屋の外では春の嵐が荒れ狂っている。風が唸りを上げる度に、庭の樹葉がざわめく音が聞こえてきた。高嶺桜は花の時期が随分と長い。花はまだ殆ど満開といった状態だけれど、この分では、かなり散ってしまうだろう。おさとの方はぼんやりとした意識の底で考えていた。