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蜜愛~男になった女~
第6章 第二部【こぼれ桜】 其の三 散る桜、咲く桜 
「貴殿、きれいどころに酌をされて良い気分になっておったのではないかな」
 傍らの一人がひやかすように言うと、
「何を申すか。お主こそ鼻の下を伸ばしていたのではないか」
 真顔で怒っている。こんな切羽詰まった状況でさえ、この若き藩士たちは痴話喧嘩を愉しむ余裕さえある。そのことに、信頼は何か自分までが勇気づけられたように思った。いずれも下禄の者たちだが、剣の腕は確かだ。
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