この作品は18歳未満閲覧禁止です
蜜愛~男になった女~
第6章 第二部【こぼれ桜】 其の三 散る桜、咲く桜
おさとの方がいつか信頼に語った言葉であった。
―神はすべての罪を赦し給いまする。
おさとの方はこうも言った。ならば、我が身のしでかした多くの過ちもでうすの下(もと)では赦されるというのだろうか。
もしかしたら、それは虫の良い考え方かもしれなかった。だが、信頼は今はその言葉を杖とするしかない。足の弱った者が杖を頼りに立ち上がり歩くように、「赦される」という、ただその言葉一つを支えにするしかない。