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第1章 第一部【白桜記】　其の一・山桜

「跡取りのないために、女のそなたを男と偽り出仕させ、あまつさえ、ご公儀の固く禁じられている切支丹であったとは。そなたの父盛綱の罪は最早、免れようもないぞ」
　徳川将軍家が天下を支配するこの時代、基督教(きりすときょう)はご法度である。見つかれば、改宗せぬ限りは異教徒として厳しい弾圧を受け、極刑に処せられるのが習いであった。