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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
田舎大名よと蔑もうとしても、実際には信頼は長儀子の知る、どの公達よりも整った面輪の貴公子であった。公卿の子弟のように軟弱でもなく、日がな蹴鞠に現(うつつ)を抜かすほど怠惰でもない。凛々しく若武者らしい気高さに溢れていた。
一日中、閨の中で側妾と戯れているという噂が信じられないほど、気品漂う物腰だった。ただ一つ、あの酷薄ともいえる眼を除けば、これだけの青年はいないのではと思えるほどの男ぶりだ。