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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
とにかく下へ降りなければと考えて、脚を一歩踏み出しかけたその時、右脚のかかとが滑った。
樹の皮が一部つるりと滑り易くなっていたのが災いしたのだ。長儀子の華奢な身体はいとも呆気なく樹から離れ、落下した。この桜の樹は結構巨大で、高さもある。丁度、とある部屋の縁越しに見える場所にあったのだが、幸か不幸か、この部屋は現在、空き部屋で住人はない。それゆえ、登るのにも不都合はなさそうだと思ったのだ。