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第8章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】　弐

「いいえ、信頼公にお眼通りは叶いました」
　何しろ、昼日中から寝所に込もって側妾と戯れているという信頼である。もしかしたら逢えなかったのではと危惧したのだが、どうやら対面はできたようである。
「して、信頼様は何と？」
　かすかな期待を込めて見つめると、忠実無比なこの乳人はそっと視線を逸らした。
「琴路？」
　これまでまめやかに仕えてきた琴路がこんな態度を取るのは珍しい。