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第8章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】　弐

　御休息の間の手前まで来たときのことだ。ふいに部屋の中から女のあられもない声が響いた。続いて信頼のくぐもった声。ひそやかな衣ずれの音が静けさの底に妖しく聞こえる。荒々しい息遣いがしばらく続き、ふっと止んだかと思うと、突如として女の鋭い悲鳴が上がった。
「どうした、そんな表情をされると、また、こうしたくなる」
　信頼の低い声が囁き、更に先刻より大きな喘ぎ声が女から洩れた。