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第8章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】　弐

　恐らく、信頼が狂ったように何人もの女に手を付けるのも、すべては報われぬ恋慕の想いからくるものに相違なかった。信頼が求めて止まぬ女人がそも誰なのかを知らずとも、彼にそのような相手が確実に存在することだけは長儀子には判った。どのような事情があるのかは判らぬけれど、皮肉にも、すべてが意のままになるはずの信頼がたった一つ手に入れられぬものがある。