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第9章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】　参

　信頼は泣いている―、そのときの長儀子は何故か、そんな風に思った。
―どのような女子でも意のままにしておしまいになるあなた様をそれほどまでに苦しめる女(ひと)は、どなたなのでございますか？
　長儀子は心の中で信頼にそっと呼びかけた。
　雪の花びらは烈しさを増しながら降りしきる。雪の花びらを全身に浴びる長儀子の眼からもひと筋の涙が糸を引いて流れ落ちた。